大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(あ)4982 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人新垣進の上告趣意は、判例違反をいうが、所論大審院の判例は、闘争行為

の継続ではなく喧嘩が一旦治つた後対手方から更に他の場所に誘致され殴折されよ

うとした際、その機先を制するの意思を以て即時匕首を以て刺傷死に致した場合の

判例であつて、原判決の認定したように本件の相手方は何等兇器等を所持していな

かつたのであるから、ジヤツクナイフを取出し立ち向う必要はなく、また、その場

から逃避することも可能であつたにかかわらず、第一審判決の判示したようにA、

Bを相手に廻し喧嘩闘争をしようと決意し、右ナイフを以て立ち向い、相互に揉み

合ううちBに対し判示傷害を加え死に致し、以て被告人の行為が一種の闘争行為の

域に達したと認められるがごとき案件には適切でない。従つて、所論判例違反の主

張は、その前提を欠くものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。そして、

原判決挙示の証拠を綜合して見ると、当裁判所においても原判決の右の認定を是認

することができる。されば、本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められ

ない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和二九年一月二八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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